高橋祥子『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』

多様な生物種があることで生命体として生存確率を上げているのが、多様性の本質です。多様性は手段に過ぎず、目的は本書で何度も出てきている生命原則のとおり「生命全体としての生存を維持すること」です。

しかし、これは空間的視野を広く設定し、生命全体を対象としたときの話です。視野を狭めれば、生き残ることができなかった生物種も存在します。

どのような環境変化があるのか、あるいはどのようは変異が環境に適応できるのか、事前に予測したり意図をもって作りだしたりすることはできないため、とにかくあらゆる可能性を試すしかないのです。

絶滅という、ある種の存在の失敗を寛大に許容し続ける生命の様子は「失敗許容主義」とも表現できます。

進化という言葉には「進」という文字が入っているため、あたかも何らかの目的や形態に向かって進んでいるかのように受け止められがちですが、実際には「こういう生物をめざしている」という明確な方向性はありません。

人類を含め、各生物種がさまざまな可能性を試す中で、結果としてうまく生き延びるものが現れればいい、という考え方です。ここでの「さまざまな可能性を試す」とは、失敗することを前提にしています。生命は、失敗も成功も含む累積探索量を、必死に増やしているのです。

経営 における 進化 とは、「 新規 事業 の 立ち 上げ」 です。 新た な もの を 作り出し、 多様 性 を 維持 する こと が、 全体 の 生存 確率 を 高める こと に つながり ます。


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