『文化が人を進化させた』 ジョセフ・ヘンリック

 人類進化のプロセスや、他の動物とこれほど異なる理由を理解するうえで何よりも重要なのは、人類は文化に依存している種である、と認識することだ。

 文化と遺伝子の相互作用がヒトという種を、自然界には例のない新寄な進化の道筋へと駆り立て、他の種とはまるで異なる新たなタイプの動物にしたのである。

 文化進化によって生まれた自己家畜化のプロセスが、ヒトの遺伝的な変化を促し、その結果、私たちは向社会的で、従順で、規則を遵守する動物になっていった。共同体に監視されながら社会規範に従って生きることを、当然のこととして受け入れるようになったのである。

人類の成功の秘密は、個々人の頭脳にあるのではなく、共同体のもつ集団脳(集団的知性)にある。この集団脳は、ヒトの文化性と社会性と合わさって生まれる。

 つまり、進んで他社から学ぼうとする性質をもっており(文化性)、しかも、適切な規範によって社会的つながりが保たれた大規模な集団で生きることができる(社会性)からこそ、集団脳が生まれるのである。

 人類のイノベーションは、個々人の知性よりもむしろ、社会のあり方に依存している。

 直観的な経験則(ヒューリスティクス)や、文字認識のような行動な認知スキル、さらには、そろばんのような知能を補う人工物も、やはり文化から受け取ったものだ。

私たちがこうした道具、概念、技能、ヒューリスティクスなどをもっているのは、ヒトが賢い動物だからではない。文化によって生み出された膨大な道具、概念、技能、ヒューリスティクスなどのおかげで賢くなっているのだ。ヒトを賢くしているのは文化なのである。

 


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