コロナ禍の影響下、自動車業界ではサプライチェーンマネジメントの良否によって業績が大幅に違いが生じています。といっても良好な結果を出しているのは、トヨタだけです。

トヨタは10年前の東日本大震災で被ったサプライチェーンの混乱による生産活動復旧の大幅遅れから反省して、サプライチェーンを大きく見直してきました。その10年間の成果がコロナ禍で出たといえます。

見直しの内容は多岐にわたるのですが、供給網の二重化、地域分散推進、選別的な在庫水準の適正化、デジタルSCM導入など大規模な災害に対応できるBCPを考慮したサプライチェーンマネジメントの推進です。これがSCM2.0です。

コロナ禍はこれをさらに発展させる必要を迫りました。

例えば、サプライチェーンマネジメントの見直しで生産の国内回帰などの動きもありますが、生産コストやそれ以上に労働者不足など背景に簡単には進めることは困難です。そのためグローバルに東南アジア各国に生産拠点や供給拠点を分散化させて、選別的なグローバル生産を行うなどの方法が考えられています。

BCPの観点からは全ての状災害に対策でする無理です。レジリエンスエンジニアリングの考え方を導入して、冗長性のあるサプライチェーンや在庫保有などしなやかで強いBCPを策定することが重要です。