このラーメン屋の経営者はラーメンの味にこだわる以上に店員の意識改革にこだわっているのだと思う。私の人材に対する考え方もこれとまったく同じ。能力の高い人を採用するというよりも人並みの能力を持つ人材を採用して、彼らの意識を高めることに全力を傾注する。わが社が創業25年で、売上高2600億円の企業グループに成長した要因はここにある。

「なぜそんなに企業をどんどん大きくしたいのか」と経営者仲間からよく質問を受ける。こんなとき、わたしは即座に「雇用創出のため」と答える。なぜなら、人間を中心とした社会にあって、人が多く集まる集団をつくること、それも目的を同じくする人の集まりを大きくし、一人でも多くの人が働ける会社をつくることが、経営者の永遠のテーマだと考えているからだ。