マルク・レビンソン『コンテナ物語』

今日問題になるのは「資本や労働者をどれだけ集められるか」ではない。「イノベーションによって資本や労働者をどれほど効率的に使い、より多くのモノやサービスを生み出せるか」なのだ。

そして研究の結果、新技術それ自体はさほど経済的利益を生まないことが明らかになった。・・・「イノベーションは最終的にはそれが最も適した用途に応用されるが、初期段階ではうまく適応できないことが多い」。新技術の導入を阻むのは、新しいやり方に対する抵抗感である。

発明の経済効果を生み出すのは、発明そのものではない。それを実用化するイノベーションである。いやもっと厳密には、・・・が指摘するように、組織や制度の変革である。そうした変革によって、企業は新技術のメリットを生かせる組織に生まれ変わる。

コンテナ輸送が陸と海を通じてモノを移動させる全く新しいシステムに成長を遂げたとき、はじめて貿易や産業の在り方に影響を与えるようになったのである。コンテナの可能性、動かす方法を使い手の方が学ぶまで世界は変わらず、しかもそれにはずいぶん時間がかかった。

しかし一旦変わり始めると、変化のスピードは速かった。コンテナの採用が進むほど、コストは下がる。こうしてローコストのコンテナ輸送が世界中で当たり前になった。