紛争の現状
開戦24日目、トランプ大統領がホルムズ海峡を48時間以内に完全開放しなければイランの発電所を「壊滅させる」と最後通牒を発し、紛争は新たな緊張局面に入った。
トランプ大統領はTruth Socialに「イランが48時間以内にホルムズ海峡を完全開放しなければ、米国は各種発電所を、最大規模のものから順に攻撃・壊滅させる」と投稿。イスラエルは3月22日にテヘラン東部への新たな攻撃を実施し、イランはディモナ・アラドなどイスラエル南部の都市に弾道ミサイルを着弾させ少なくとも84人が負傷した。さらにイランはイラク・バグダッド国際空港近くの軍事基地にもドローン攻撃を実施している。 FreightWaves
イラン軍はトランプの発電所攻撃威嚇に対し「発電所が攻撃されれば、ホルムズ海峡を無期限に完全閉鎖する用意がある」と宣言。CNN情報筋はイランが海峡の「有料通行化」を通じた収益化に動いていると報じており、外交と強制の混在した新たな戦略に転換しつつある。 Freightos
軍事面では、UKMTOが湾岸・ホルムズ海峡・オマーン湾の脅威レベルを依然「最高水準(クリティカル)」と維持しており、3月1日以降の商業船舶・沖合インフラへの攻撃確認件数は21件に達した。バーレーンは開戦以来143発のミサイルと242機のドローンを迎撃したと発表。サウジアラビアは3時間以内に38機を含む計47機のドローンを撃墜している。イラクは国内空域の72時間閉鎖延長を発表した。 NBC New York
エネルギー面では、ホルムズを通じて世界の石油・LNGの約20%が供給されていた回廊が実質停止する中、原油価格が110ドル超を記録し、開戦来で約45%上昇した。トランプ政権は4月19日まで有効な制裁解除措置として、イラン産石油約1億4,000万バレル分の取引を一時的に許可した。IEAは在宅勤務・公共交通利用・高速道路速度制限引き下げなどを各国に促す緊急エネルギー節約措置を呼びかけており、「史上最大の石油市場混乱」と表現した。 CNBC
ホルムズの新展開として、イランのIRGCが海峡のイラン領海を通る管理された「有料通行制」航路を開設したことが明らかになった。ララク島でIRGC海軍要員が承認船舶を目視検査し、少なくとも9隻がこの航路で海峡を通過した(インド籍ガスタンカー2隻を含む)。ロイズ・リストとBloombergによると少なくとも1隻のタンカー運航者が約200万ドルの「通行料」を支払ったことが確認されており、インド・パキスタン・イラク・マレーシア・中国がテヘランと船舶通航協議を直接行っている。 Fox News
国際コンテナ運賃の動向
ホルムズ危機の第二段階:衝撃から構造的再編へ
Container Managementは「開戦3週間で危機は新たな段階に入った。最初の衝撃(船社の撤退・予約停止・不可抗力宣言)は、より深刻な事態に道を譲った。それはアジア・中東・西側間の貨物の動き方の全面的な再編であり、コストがチョークポイントそのものを遥かに超えたサプライチェーンの全ノードに伝播していることだ」と総括した。マースクのランドブリッジ、ONEの内陸燃料プレミアム、そしてIRGCの有料通行制という三つの新たな枠組みが同時進行している。 Fox News
Vespucci MaritimeのラースイェンセンCEOはTPM26で「2026年の海運市場は当初、若干の過剰キャパシティと運賃の下落圧力という見通しだったが、その見通しは完全に覆った。中東での『奇跡』と紅海への急速な回帰がない限り、市場は船社に有利な方向にシフトし直す。今や海運はもはや需給ではなくサーチャージの話だ。船社はあらゆる手段で可能な限り高いサーチャージを導入する」と断言した。また変動バンカー燃料サーチャージは四半期ごとに1カ月の事前通知で調整されるため、現在の原油価格急騰が2026年第3四半期のチャージに反映されると指摘した。 OPB
コンテナが通常の循環に戻れないため機器不足が発生しつつある。戦争リスク保険が「単純なコスト追加」ではなく「物理的に通過できない制約」として機能している点が過去のどの混乱とも本質的に異なる。また、湾岸向けとは無関係の積荷であっても、燃料コスト上昇・船舶の機器不均衡・主要東西航路への混雑波及という形でリスクにさらされる。 NBC News
国際航空貨物運賃の動向
「有料通行制」が生み出す航空への新たな需要移転
IRGCによるホルムズ「有料通行制」の開設は、一部の高付加価値貨物について海上輸送の選択肢を部分的に復活させる可能性をもたらした。ただしタンカー・ガス船が優先されるため、コンテナ船への適用は限定的とみられ、医薬品・電子機器などの時間厳守品については依然として航空輸送への移転圧力が続いている。 Fox News
アジア〜欧州の航空貨物キャパシティは依然として約35〜40%減少した状態が続いており、カタール空域は閉鎖中でカタール航空の中東運航も停止が続いている。Freightosの推計では通常は中国〜欧州間の航空貨物キャパシティの約4分の1が中東を経由しており、この消失がアジア〜欧州間の構造的キャパシティ制約として定着しつつある。 Al Jazeera
FTIコンサルティングは「航空貨物は海上輸送からのモーダルシフトによる需要増と、中東ハブ閉鎖によるキャパシティ減という両面からの圧力を同時に受けている。この二重の圧力が、春節明けの需要本格回復と重なることで、数週間以内に運賃の急騰局面に入る蓋然性が高い」と警告した。 NBC News
総括
開戦23日目の現在、トランプ大統領の48時間最後通牒・イランの「無期限閉鎖」警告・IRGCの有料通行制開設という三つの新展開が同時に起きている。コンテナ海運は「衝撃から構造的再編」という第二段階に移行しており、「中東での奇跡がない限り、市場は船社に有利にシフトし直す」というイェンセン氏の分析が示す通り、 OPB 2026年を通じた運賃高止まりが既定路線となりつつある。IRGCの有料通行制は海峡の部分的な機能回復をもたらす可能性があるが、200万ドルの通行料と検査リスクを勘案すれば商業ベースでの本格利用は限定的であり、根本的な解決にはほど遠い。