紛争の現状

開戦以来の累計死者数はイランおよびレバノンで少なくとも1,444人、負傷者は18,551人に達した。米国はイランの石油輸出の90%が通過する「クラウンジュエル」とトランプ大統領が呼ぶカルグ島の軍事施設を爆撃。ホルムズ海峡での輸送を妨害した場合は石油インフラを攻撃すると警告しつつも、現時点では島の石油施設は意図的に温存されている。 Freightos

停戦に向けた外交的動きとしては、ペゼシュキアン大統領が「イランの正当な権利の承認・損害賠償・将来の攻撃に対する国際的保証」を停戦条件として提示し、ロシア・パキスタンとの協議で「平和への関与」を確認した。トランプ大統領も「攻撃すべき標的がほぼ残っていない」として戦争が「まもなく終わる」と示唆している。 The National 一方で新最高指導者モジュタバー・ハメネイ師は「米軍基地が閉鎖されない限り攻撃を継続する」と宣言しており、双方の条件のギャップは依然大きい。 Freightos

紛争の広域化については、イスラエルがレバノンへの地上部隊派遣を拡大し、ヒズボラが2024年11月以来初めてイスラエルへのミサイル・ドローン攻撃を再開。レバノンでの死者は少なくとも773人に達している。 CNBC フーシー派については、2025年10月の停戦以降、商業船舶への攻撃を停止した状態を維持しており、指導部弱体化と米国との停戦維持を優先し「政治的連帯声明」にとどめている。 FreightWaves


国際コンテナ運賃の動向

最新の運賃指数(3月13〜14日データ)

3月13日付の上海コンテナ運賃指数(SCFI)は1,710.35を記録し、前週の1,489.19から14.9%急騰した。開戦直前の2月27日の1,333.11と比較すると28.3%の上昇で、昨年7月以来約8カ月ぶりに1,700台を回復した。中東航路は週間で40.8%急騰し、1TEUあたり3,220ドルとなった。原油はブレント先物が3月13日に1バレル103.14ドルと2022年7月以来の高値圏で2日連続の100ドル超となり、ゴールドマン・サックスは3月平均のブレント価格が100ドルを超えると予測している。 OPB

主要航路別の運賃

上海〜ジェベルアリのスポット運賃は3月1日の1,800ドル/FEUから3月3日には4,000ドル超へと急騰した。一方、主要東西航路のアジア〜米国西海岸は1,843ドル/FEU、アジア〜米国東海岸は3,022ドル/FEUで横ばいを維持している。CMA CGMが導入した3,000ドル/FEUの緊急割増金がジェベルアリ向け運賃を押し上げており、マースクとCMA CGMは紅海への一部復帰計画を全面撤回した。 Wikipedia

構造的な運賃上昇メカニズム

Freightosのジュダ・レヴィン調査責任者は「現時点では、直接的な運賃上昇はホルムズ閉鎖の影響を受ける湾岸向けコンテナに集中しているが、燃料コスト上昇・船舶の機器不均衡・主要東西航路への波及という形で、紛争が長引くほどグローバル全航路にじわじわと影響が広がる」と分析した。ホルムズ経由の交通が再開された際には、大量の船舶が同時に港湾に到着することで混雑が生じ、2024年の紅海危機初期と同様のパターンが繰り返される可能性がある。 The Times of Israel


国際航空貨物運賃の動向

最新の運賃水準(Freightos・Xeneta 3月13日データ)

Freightos Air Indexによると、南アジア〜欧州のスポット運賃は開戦前の2.57ドル/kgから4.37ドル/kgへ70%急騰し、全航路中最大の上昇率となった。南アジア〜北米は58%上昇し6.41ドル/kg、欧州〜中東は55%上昇し2.79ドル/kgとなっている。ただしFreightosのレヴィン氏は「ここ数日で多くの航路で値上がりペースが鈍化・横ばい、あるいはわずかに下落している」とも述べており、一部の航路では若干の落ち着きが見られる。 The Washington Post

キャパシティ喪失の規模と代替戦略

グローバルの航空貨物キャパシティは前週比18%減少し、そのうち13%はエミレーツ・カタール航空・エティハドといった中東系キャリアの運航停止に起因している。アジア〜中東・南アジア〜欧州回廊全体ではキャパシティが約40%消失した。カタール航空カーゴ(世界最大の非エクスプレス貨物航空会社)はドーハ閉鎖で全便を停止し、フォワーダー各社が直行チャーター便の手配を急いでいる。インド〜欧州向けの医薬品・ワクチンの約80%が中東経由を利用しており、「数週間続けば薬不足が生じる」との警告も出ている。 NBC News

キャセイパシフィックCEOのロナルド・ラム氏は「通常は欧州便でドバイに寄航して給油・積み増しを行うが、現在はドバイをスキップし香港から欧州へ直行しており、燃料の給油ができない分、積載量制限が生じている」と述べた。 The Washington Post

今後の見通し

Xenetaのニール・ファン・デ・ウウ最高航空貨物責任者は「紛争が短期間で終結し中東物流市場が迅速に回復すれば長期的な油価急騰への懸念は薄れる。しかし紛争が長期化すれば、中東ハブ閉鎖の直撃を受ける航空回廊でスポット運賃が短期的に2〜3倍に達する可能性がある」と警告した。また欧州だけでなく米国も脆弱で、インド〜米国東海岸の医薬品・小売品航路が特にリスクにさらされていると指摘した。 Al Jazeera


総括

開戦16日目の本日、SCFIが開戦前比28%上昇し8カ月ぶりの高値、中東航路は40%超の急騰、航空貨物は南アジア〜欧州で70%急騰という具体的な数字が出揃った。停戦交渉では双方が条件を提示し「出口」がわずかに見え始めているが、米軍のカルグ島爆撃とハメネイ新最高指導者の攻撃継続宣言が示す通り、即時収束とはほど遠い状況だ。国際エネルギー機関(IEA)は混乱への対応として過去最大規模となる4億バレルの原油備蓄放出を決定しており Freightos 、各国が長期化シナリオへの備えに入っていることを示している。