紛争の現状
開戦以来、石油施設を巡るエネルギーの武器化が深刻化している。イスラエルは3月8日にイランの石油施設を攻撃。これに対しイランは湾岸の石油・ガスインフラを「炎上させる」能力があると警告し、「世界経済を破壊できる長期戦の準備ができている」と宣言した。原油価格は紛争前の65ドルから100ドル超へと急騰し、4年ぶりの高値を記録している。 The National
軍事面では、開戦から14日間でイラン全31州のうち26州で約6,000か所が攻撃を受けた。イランの弾道ミサイル発射ランチャーは160〜190基が破壊され、200基超が無力化された。残存する稼働ランチャーは推定150基程度となっており、ミサイル発射ペースは低下傾向にある。 FreightWaves
外交面では、ペゼシュキアン大統領がX上で「イランの平和への関与」を確認しつつ「正当な権利の承認・損害賠償・将来の攻撃に対する国際的保証」を停戦条件として提示した。アナリストはこれをテヘランからのデエスカレーションシグナルと受け止めている。一方トランプ大統領は「攻撃すべき標的がほとんど残っていない」として戦争が「まもなく終わる」と示唆しながらも、地上侵攻の可能性については憶測が続いている。 The National
フーシー派については、2025年10月のイスラエル・ハマス停戦以降、商業船舶への攻撃をほぼ停止していたフーシー派はイラン攻撃後も「政治的・感情的な連帯声明」にとどまり、実際の軍事行動には至っていない。2025年のイスラエル空爆による指導部弱体化と、米国との2025年停戦維持の優先が抑制要因となっている。 CTOL Digital Solutions
国際コンテナ運賃の動向
ホルムズ封鎖の固定化と滞留船舶
ホルムズ海峡は事実上の閉鎖状態が続いており、湾岸向けコンテナ輸送は「遅延」ではなく「停止」という状態だ。Vespucci MaritimeのラースイェンセンCEOは「まだ実際のところはわからないが、これが紅海のリスクプロファイルを劇的に高めており、スエズ経由への回帰計画は完全に消滅した」と断言した。紅海に再び攻撃が始まれば、ホルムズと紅海の二重封鎖が確定する。 Al Jazeera
運賃・割増金の現状
上海〜ジェベルアリのスポット運賃は3月1日の1,800ドル/FEUから3月3日には4,000ドル超へと急騰し、CMA CGMが導入した3,000ドル/FEUの緊急割増金を反映している。主要東西航路については、アジア〜米国西岸が1,843ドル/FEU、同東岸が3,022ドル/FEUで横ばいを維持しており、直接的な運賃急騰は現時点では中東向けに集中している。 The Washington Post
標準的な20フィートコンテナの運賃は約200ドル上昇し、ルートや貨物種別によって15〜20%の値上がりとなっている。130隻超の船舶が湾岸に足止めされており、喜望峰迂回を余儀なくされた船社のコスト増が最終的に消費者価格に波及する見通しだとマースクCEOは警告した。 The Jerusalem Post
構造的な運賃底上げ
湾岸向けとレッドシー向け双方に最大3,000ドル/FEUの緊急割増金が導入されており、これは「始まりにすぎない」とジェンセン氏は指摘する。「一発撃てばいい。全ての船に撃つ必要はない。時々一発撃てば、リスクが現実であることが証明される。それだけで大半の商業事業者が船員の命と貨物をリスクにさらすことをためらうのに十分だ」と述べ、紅海危機と同じメカニズムが働いていると警告した。 Al Jazeera
国際航空貨物運賃の動向
最新の運賃上昇率(3月13日・ロイター報道)
3月13日付のロイター報道によると、開戦以来一部の航路で航空貨物運賃が最大70%急騰した。Freightos Air Indexの最新データでは、南アジア〜欧州が紛争前の2.57ドル/kgから4.37ドル/kgへ70%急騰、南アジア〜北米が6.41ドル/kgへ58%上昇、欧州〜中東が2.79ドル/kgへ55%上昇となっており、南アジア〜欧州路線が最も深刻な打撃を受けている。 NBC News
ロイターは「ただし、この数日で多くの航路で値上がりペースが鈍化・横ばい、あるいはわずかに下落している」というFreightosリサーチ責任者ジュダ・レヴィン氏のコメントも伝えており、一部の航路では若干の落ち着きが見られる。 NBC News
キャパシティ喪失と代替ルートの限界
グローバルの航空貨物キャパシティは前週比18〜21%減少し、アジア〜中東・南アジア〜欧州回廊では約40%が消失している。カタール航空カーゴ(世界最大の非エクスプレス貨物航空会社、747貨物機29機)はドーハ閉鎖で全便停止中、エミレーツスカイカーゴは限定的な再開にとどまっている。インド〜欧州向けの医薬品・ワクチンの約80%が中東経由を利用しており、「数週間続けば薬不足が生じる」との警告が出ている。 Wikipedia
XenetaのニールVanデウウ最高航空貨物責任者は「紛争が長期化すれば、中東のトランジットハブ閉鎖で直接影響を受ける航空回廊でスポット運賃が短期的に2〜3倍に達する可能性がある」と警告した。一方で2026年に入り航空貨物市場は前年比6%増の需要増が確認されており、「月初のデータだけを見れば今年の出だしは好調」と述べつつ、「今後は紛争の長さ次第」と予測した。 OPB
総括
開戦15日目、ペゼシュキアン大統領による停戦条件の提示とトランプ大統領の「まもなく終わる」発言で、紛争の出口がわずかに見え始めた。しかし新最高指導者モジュタバー・ハメネイ師のホルムズ閉鎖継続宣言と双方のエネルギーインフラへの攻撃の応酬は依然として続いており、即時収束とはほど遠い。コンテナ運賃は湾岸向けを直撃しながら喜望峰迂回の長期化によるグローバル全航路への高止まりを引き起こしており、「コンテナ船は衣類・電子機器・玩具・日用品など日常品の大陸間輸送を担っており、運賃コスト上昇がサプライチェーンを通じて最終的に消費者物価に波及する」とマースクCEOは警告している。 CNN 航空貨物は南アジア〜欧州で70%という急騰が確認された一方、ここ数日で一部航路で上昇が鈍化しており、紛争終結への外交的動きが加速すれば数週間での回復も視野に入る状況だ。