紛争の現状
開戦12日目の本日、米国防長官ヘグセス氏は「今日はイラン国内での最も激しい攻撃日となる。これまでで最多の戦闘機と爆撃機を投入する」と記者会見で宣言した。イラン議会議長ガリバフ氏はSNSで「われわれは停戦を求めていない」と明言している。 CTOL Digital Solutions
一方、トランプ大統領は月曜日に記者団に対し「戦争はかなり早く終わるだろう」と述べながらも「今週中には終わらない」と明言し、「まだ十分な勝利を得ていない」と発言した。イランの新最高指導者モジュタバー・ハメネイ師に対しては「満足していない」と不快感を示した。 FreightWaves
外交面では、中国・ロシア・フランスがイランに停戦に向けた接触を行ったとイラン国営テレビが報じた。しかしイラン外相アラグチ氏は「国民のために戦い続けなければならない」として停戦を公式拒否した。ロシアの支援についてはプーチン大統領とトランプ大統領が電話会談で協議しており、イラン紛争とウクライナ和平が同時に議題に上った。 FreightWaves
軍事面では、イランの報復攻撃がUAE・サウジアラビア・カタール・クウェート・バーレーン・イラク・オマーン・ヨルダンの米軍施設・大使館・石油インフラを標的にしており、ホルムズ海峡通過船舶や中東各国の商業拠点も攻撃対象となっている。 CNBC またイランの弾道ミサイル発射ペースは開戦当初から低下しており、アナリストはミサイル・ランチャーの在庫枯渇と長期戦を見据えた温存戦略の両方を要因として指摘している。 FreightWaves
フーシー派については、2025年10月のイスラエル・ハマス停戦以降、商業船舶への攻撃をほぼ停止していた。イラン攻撃後も「紅海作戦の準備はできている」と宣言しているが、現時点では実力行使には至っておらず、2025年のイスラエルによる空爆でサナア政府・軍指導部が弱体化した影響も抑制要因となっている。 Lloyd’s List
国際コンテナ運賃への影響
ホルムズ封鎖の構造的影響
2026年3月のホルムズ危機は、2024年紅海危機、コロナ後の港湾混雑に続く「3年連続の主要チョークポイント閉鎖」という前例のない事態だ。紅海には喜望峰回りという代替ルートが存在し、所要日数が10〜14日増加するが貨物は動く。しかしホルムズが閉鎖されると湾岸港への貨物は遅くなるのではなく完全に止まる。保険カバーも3月5日付で撤廃され、経済的に通過が不可能な状態が固定化されている。 euronews
運賃の現状水準
3月5日終了週のDrewry世界コンテナ指数はグローバル平均が前週比3%上昇し40フィートあたり1,958ドル。トランスパシフィックが最も強く、上海〜ロサンゼルス10%上昇の2,402ドル、上海〜ニューヨーク7%上昇の2,977ドルを記録した。一方、上海〜ロッテルダムは2%下落の2,052ドルと軟調で、直接的な運賃急騰は現時点では中東向けに集中している。 The Jerusalem Post
割増金・追加コストの実態
MSCはアラビア湾からの輸出について「航海終了」(end of voyage)宣言を行い、湾岸港での荷卸し後の責任・リスクを荷主に移転した。ハパックロイドはイラク・バーレーン・クウェート・カタール・オマーン・UAE・サウジアラビア向け全予約に1,800〜3,800ドル/コンテナの緊急運賃割増金を適用している。 Fox News
マースクも3月2日付で船荷証券第20条に基づく緊急運賃値上げを即時発動し、UAE・カタール・サウジアラビア(ダンマン・ジュバイル)・バーレーン・クウェート・イラク・オマーン(ソハール)向け全域を対象としている。スエズ経由での一部再開を計画していたMECLサービスとジェミナイコオペレーションのME11/IMXサービスも再開計画を全面撤回した。 The Times of Israel
グローバル運賃への波及メカニズム
遠東〜欧州間のコンテナ輸送はホルムズ海峡を直接通過しないが、ホルムズ封鎖は油価上昇を通じてバンカー燃料コストを押し上げ、船社が燃料調整係数(BAF)や追加燃料割増金を引き上げることで全航路の運賃コスト構造に波及する。 Wikipedia
Xenetaのピーター・サンド首席アナリストは「少なくとも紛争が続く限り、中東向け運賃の上昇を織り込むべきだ。海上輸送に真の代替手段は存在しない。地政学リスクがかつてない頻度と深刻さで現れており、10の緊急計画を立てても全て無効にされるという疲弊感もある」と述べた。 CNN
国際航空貨物運賃への影響
キャパシティ喪失の規模
ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡(紅海)の同時封鎖は、スエズ経由回帰の希望を完全に潰した。航空貨物面では、Freightosの推計によると通常は中国〜欧州間の航空貨物キャパシティの約4分の1が中東を経由している。コンサルタント会社Aeveanの分析では、アジア太平洋〜中東・南アジア〜欧州回廊全体のキャパシティが利用可能貨物トンキロメートル換算で39%減少しており、グローバル航空貨物市場に短期的な構造的変化が生じている。 OPB
荷主への実務的影響
航空貨物への転換を検討するシッパーに対し、業界アドバイザーは「時間的に重要な在庫については、航空運賃も上昇中だが、輸送日数の短縮が欠品リスクを防ぐ効果をもたらす可能性がある。高利益率SKUについて費用対効果の計算を行うべきだ」と指摘している。また戦争リスク保険料の急騰と一部保険会社の湾岸向けカバー撤廃を受け、別途戦争リスク保険の手配が必要になっているケースも増えている。 Al Jazeera
総括
本日、米国がイラン史上最大規模の攻撃を実施する見通しとなる中、イラン・米国双方が長期戦を宣言している。ホルムズ海峡封鎖の固定化、スエズ経由回帰計画の全面撤回、湾岸向け緊急割増金の発動、航空貨物キャパシティの40%近い消失という四重の打撃が同時進行している。グローバルサプライチェーンは効率性優先で構築されており、単一チョークポイントの閉鎖だけで広範な供給網全体に波及する構造的な脆弱性が再び露わになっている。在庫バッファーを通常の30日から45〜60日に拡大し、運賃を実費反映型の契約条件に切り替えることが荷主側の緊急対応策として浮上している。 euronews