物流・倉庫・荷主でICPが効く領域
投資評価(CAPEX)
ICPは「企業内の投資・戦略基準に炭素価格を含めて事業判断する仕組み」とされ、投資採否に直接つながるのが強みです。
倉庫・物流の投資論点は、空調・冷凍冷蔵・照明、太陽光/PPA、BEMS、断熱、マテハン自動化、フォークリフトや構内車両更新、拠点集約など“寿命が長い資産”に集中します。ここにICPを加えると、単純な回収年数では落ちる案件が「炭素価値(削減量×ICP)」で採択側に寄りやすくなります(CO₂削減量×ICPを“みなし利益”として上乗せする一次情報の例)。
調達(サプライヤー・3PL・キャリア選定)
CDPの日本版レポートは、Scope1/2/3の内訳ではScope3が大きい企業が多く、特に調達(カテゴリ1)がScope3で影響の大きいカテゴリーの一つで、削減にはサプライヤーとのエンゲージメントが重要だと述べています。
荷主にとっての物流は、まさに「調達した輸送・保管サービス」に近い性格を持つため、ICPを“キャリア選定の評価軸(価格×排出量)”に入れると、購買/調達の意思決定に脱炭素を接続できます(目的に「サプライヤーとの協働」が含まれる例)。
契約(運賃・SLA・共同化の判断)
契約は物流の排出を固定化します。運賃だけでなく、納品頻度・リードタイム・積載条件・荷役条件が排出(=走行回数・待機・空車)に効くため、ICPを入れるべきは「輸送そのもの」より、契約条件を決める稟議です。これは、サステナビリティ情報と財務情報のつながりを意識した開示が重要であり、ICPでGHGを財務と関連付けることが考えられる、という開示例の方向性とも整合します。
Scope3管理(境界の拡張)
実務の順番は、まずScope1/2(拠点燃料・電力)を押さえ、次に必要な場合にScope3(原材料調達、R&D、M&A等を含む)を適用範囲に入れるか検討する、という整理が提示されています。
物流では、荷主側がScope3(輸送・保管の委託)を避けて通りにくい一方、データ未整備で拡張すると破綻します。したがって「範囲は段階的に広げる」こと自体が、ICP導入の重要な目的になります。