性能・仕様・価格の比較:Optimus vs Figure 01
まず、両ロボットの主要なスペックを対比します(※現時点の公表値や推定値):
| 項目 | テスラ Optimus | Figure 01 |
|---|---|---|
| 身長・体重 | 約173cm・57kg | 約168cm・60kg |
| 関節の自由度 | 約28箇所(各手に11関節含む) | 約19箇所 |
| 可搬重量 | 約9kg(片手持ち)・最大68kg持ち上げ | 約20kg(両腕合計) |
| 最高速度 | 約5 mph(≒2.2m/s) | 約2.7 mph(1.2m/s) |
| バッテリー・稼働時間 | ~2.3kWh搭載・最大8時間動作 | ~0.86kWh搭載・最大5時間動作 |
| 価格帯(目標) | $20,000–30,000程度(大量生産時) | 未公表(初期導入は$100,000超とも推測) |
物流分野での活用方法
倉庫・工場物流におけるOptimusの活用
テスラのOptimusは、まず自社の製造工場内での利用を念頭に開発されています。公式には「危険、退屈、単調な作業」を代替することが目的と言われており、その典型例として工場や倉庫内での資材運搬や部品供給が挙げられます。実際、テスラは2024年時点で2体のOptimusを自社工場の現場に試験導入し、一定のタスクを自律的にこなさせ始めたと発表しました。どの工場か具体的には明かされていませんが、「工場内で自律的に作業するOptimusが稼働中」と報告されており、テスラ社内での実証実験が進んでいるようです。Optimusが想定する物流系タスクには、例えば倉庫の棚から部品をピッキングして生産ラインに配送する、組み立てラインでライン作業者に部品トレイを手渡す、完成品や部材のパレット積み下ろしを行う、倉庫エリアの在庫整理や棚卸しを支援する、といったものがあります。移動式で人間大のロボットである強みを活かし、施設内を歩き回って必要なエリアへ物を届けたり、固定設備では対応しにくい複数工程をまたいだ柔軟な作業に対応できる点がメリットです。
Optimusはすでに色別のブロックを仕分ける簡易ピッキングや、ゴミを拾ってゴミ箱に捨てるような実演も行っています。これらは基礎的な動作ですが、物体認識とマニピュレーション(把持動作)の組み合わせであり、倉庫におけるピッキング・仕分け作業の基礎といえます。さらに2025年には、テスラはOptimusが社内の機械のオペレーション補助(機械への部品セット等)や工場清掃のような雑務にも就かせる計画を示唆しています。イーロン・マスク氏によれば、Optimusはまずテスラ社内で数千体規模まで導入され、その実績をもとに一般の工場や倉庫へ展開していくロードマップです。2024年の株主向け説明では「Optimusは年内に工場の役割を果たせるようになり、2025年末までには販売開始も可能かもしれない」と述べており、物流分野での実運用が目前に迫っていることを示唆しています。
Optimusが物流で担う具体例として、完成車工場での部品運搬が考えられます。自動車製造では多種多様な部品をラインに投入する必要がありますが、OptimusならAGV(自動搬送ロボット)と違い既存の人間用通路やエレベーターを使ってフレキシブルに動けるため、必要な場所へピンポイントで物を届けられます。また、人手では危険の伴う高所での在庫棚作業や、腰痛リスクのある重量物の持ち上げなどにも投入できます。例えば重量部品の箱を床からピックアップして腰の高さのコンベアに載せる作業は、人間には負担が大きい反復作業ですが、Optimusなら疲れを知らず24時間動かせるため、大幅な省人化につながるでしょう。
もっとも、現状のOptimusはまだ開発途上であり、脚の安定性や手先の器用さに課題が残ります。平坦な床での移動や単純繰り返し動作には強みを発揮しますが、混雑した倉庫で人間とすれ違いながら臨機応変に動くといったシナリオでは、今後のAI精度向上と検証が必要です。テスラは安全柵なしで人と協働できるよう、衝突回避アルゴリズムや関節の力制限(ぶつかっても大怪我させない出力制御)を導入しており、労働現場で安心して使えるロボットを目指しています。将来的には倉庫だけでなく、小売店での品出しや宅配物流での荷物仕分けなど、広範な「現場労働」領域にOptimusが活用される可能性があります。
倉庫・物流におけるFigure 01の活用
Figure社のFigure 01(および後継機)は、創業当初から物流・倉庫での人手不足解消を主要ユースケースに想定していました。特に、人間に依存している大規模倉庫の単純作業(棚からのピッキング、商品の仕分け、トート※コンテナの搬送など)を自律ロボットで置き換えることが、Figure 01の目標とするところです。Figure社は2023年の時点で「人間がやりたがらない、または人手が足りない仕事をロボットにやらせる」と述べており、まずは倉庫作業員の代替として企業に売り込む戦略を取っています。
その具体的な活用例の一つが宅配・配送センターでの小荷物仕分けです。2025年初め、Figure社は自社ロボットがコンベヤ横に立ち、流れてくる小包をピックアップして向きを揃え、別のベルトに乗せ替えるデモ動画を公開しました。これは大手物流企業(UPSと報じられる)との提携を示唆する内容で、実際にUPS(米国の配送大手)はFigure製ヒューマノイドの導入を検討中と伝えられています。この応用では、Figure 01が流れゆく荷物を瞬時に掴み、宛先ラベルが読み取れる向きに回転させて、仕分け用のベルトに載せるという人間さながらの動きをこなす必要があります。サイズや形状が様々な荷物に適応し、コンベヤの絶え間ない動きに合わせて正確に処理するため、Figure社は視覚アルゴリズムの強化(ステレオビジョンによる精密な距離認識)や動作スピード向上のチューニング(Sport Modeと称する実行高速化技術)を行ったと報告しています。その結果、限られた学習データでも人間に迫る速度・精度で荷物仕分けが可能になりつつあるとのことで、倉庫の中継作業への実適用が現実味を帯びています。
またFigure社は自動車メーカーBMWと提携し、2024年前後に実際の工場ラインでヒューマノイドを稼働させるプロジェクトを進めました。2025年11月には、第二世代ロボット「Figure 02」をBMWの米サウスカロライナ工場の組立ラインに11ヶ月間常駐させ、成果を上げたと発表しています。そのロボットは月〜金の1日10時間シフトで稼働し、累計1,250時間以上にわたりシートメタル(車体部品)のピッキング&配置作業を担当、90,000点以上の部品をラインに投入し、約30,000台分のBMW車生産に貢献したと報告されています。この作業は、自動溶接機に板金パーツをセットする工程で、人が行えば単調かつ重量物取扱いを伴うため負担の大きい仕事です。Figure 02ロボットは足でラック間を歩いて移動し、各部品を掴んで溶接治具に正確に配置するというピック&プレース動作を繰り返しました。要求精度は5mm以内、サイクルタイム84秒という厳しい条件でしたが、同社によれば99%以上の成功率とゼロ回の人間による介入(停止操作)を達成し、実ラインで安定稼働したとのことです。この成果はヒューマノイドロボットが現実の産業オペレーションに耐えうることを示す重要なマイルストーンであり、同様の技術は倉庫物流にも応用可能です。例えば自動倉庫でロボットが商品を棚から取り出して出荷コンテナに詰める、あるいはトラックから荷下ろしされた箱をパレットに積み上げる、といった重労働にもFigureロボットが役立つでしょう。
さらに、大手企業との戦略的パートナーシップも進んでいます。2025年にはFigure社が総額10億ドル超の資金調達(シリーズC)に成功し、評価額は39億ドルに達しました。同時に、不動産・インフラ大手のBrookfieldとの提携も発表しており、Brookfieldが保有する多数の物流施設でヒューマノイドを活用する計画が示唆されています(Brookfieldは倉庫運営にロボット導入を進める戦略を持つ)。このようにFigure社は物流業界の大企業(UPSやBrookfield)と連携し、現場導入の機会を確保しつつ、ロボット量産体制を整えています。