1. 古代〜近世:商業と軍事を支えた物流
- 古代エジプト・ローマでは河川・道路・港湾インフラを整備し、国家経営の根幹として物流を重視。
- 中世ヨーロッパではハンザ同盟や地中海交易が発展し、海上輸送と倉庫管理が都市経営の中心に。
- 日本の江戸時代では五街道整備や河川舟運が整い、大名統制・都市消費を支える「物流」が発展しました。藩や商家は「蔵屋敷」「問屋」を通じて、金融と物流を結びつけた。
2. 19世紀〜20世紀初頭:産業革命と近代物流の誕生
- 産業革命により鉄道・蒸気船が普及し、大量生産=大量輸送の体制が確立。
- 米国では鉄道会社が「時間表」「標準ゲージ」を導入し、物流を科学的にマネジメント。
- 日本では明治期に商船・港湾・鉄道・倉庫業が整備された。物流業は金融・貿易を支える「経営インフラ」として発展。
3. 20世紀中盤:戦後復興と高度経済成長
- 第二次世界大戦後、物流は軍事経験を背景に効率化。米国ではロジスティクス(軍事物流理論)が企業経営に導入され、サプライチェーンマネジメントの源流となった。
- 日本では高度経済成長期にトラック輸送網・高速道路網が整備され、全国規模の配送網をもつ総合物流企業が台頭。
4. 20世紀末:グローバル化とサプライチェーン経営
- 1980〜90年代にはグローバル化が進み、物流は単なるコストセンターではなく経営戦略の要となる。
- JITやSCMの概念が浸透。トヨタの「かんばん方式」は世界標準となり、物流と生産を統合したマネジメントが主流に。
- DHL、FedEx、UPSなどグローバル企業はIT・航空貨物・国際宅配を武器に成長。物流は「時間を売る産業」へ。
5. 21世紀:DX・ESG・災害対応時代の物流経営
- eコマース革命:Amazonや楽天などのECが急拡大し、ラストワンマイル配送が経営課題に。再配達削減・自動仕分け・倉庫ロボティクスが導入される。
- サステナビリティ経営:DHLの「Mission 2050」などCO₂削減や再エネ投資が物流経営の中心テーマに。Scope3対応を巡り荷主と物流企業の協働が不可欠に。
- 災害物流とBCP:東日本大震災を契機に、災害対応力が企業評価の基準に。BCP・代替輸送・多拠点体制は経営必須条件となった。
- デジタル化・AI:IoT、AI、ブロックチェーンを活用し、需要予測・在庫最適化・自動運行車両が実用化。物流は「データ産業」へと転換中。