「マージナルゲイン(Marginal Gain)」とは、「すべての工程・要素を1%ずつ改善すれば、全体で大きな成果につながる」という考え方です。日本語では「わずかな改善の積み重ね」「微差の追求」などと訳されます。

■ 概要

元々は経済学や統計学で「限界利益」などを意味する言葉。ビジネスやスポーツの分野では「複数の小さな改善が大きな成果を生む」という改善哲学として使われます。

■ 有名な事例:イギリス自転車チームの革命

2000年代後半、イギリス自転車競技チームのデイヴ・ブレイルスフォード監督が導入

自転車、ヘルメット、フォームだけでなく、寝具、洗剤、食事、手洗い方法など、
あらゆる要素を1%ずつ改善

結果:オリンピックでのメダル獲得数が飛躍的に増加(2008北京、2012ロンドン)

■ ビジネスへの応用

分野 マージナルゲインの実践例

製造業 工程のムダ取り、治工具の改良、作業姿勢の改善
オフィス業務 メールの定型化、資料フォーマットの統一、会議時間短縮
営業 トークスクリプトの磨き込み、商談後の振り返り習慣化
サービス業 接客ワードの改善、待ち時間の短縮、店舗レイアウト調整

■ トヨタ式との共通点と違い

項目 マージナルゲイン トヨタ式カイゼン

アプローチ あらゆる領域で1%の改善 現場主義・真因分析による改善
目的 小さな改善の総和で成果最大化 ムダをなくし効率・品質向上
特徴 横断的・習慣的 問題解決志向・仕組み化

完璧な1つの改善より、たくさんの小さな改善

1%改善 × 100項目 = 大幅な成果

小さな成功体験を積み重ね、改善文化を育てる