『経営の精神』加護野忠男
日本企業は従業員や経営者のコミットメントを高めるための多くの仕掛けを持っていた。
その第一は雇用保障である。第二は従業員に対する手厚い施策である。
ガバナンスの制度も従業員のコミットメントを引き出すように運営されていた。
第一の手段は従業員代表の経営者への登用である。第二は厚い内部留保である。
コミットメントという資産は、目に見えない資産であるが、企業の健全な発展にとって重要な意味を持っている。まさに見えざる資産なのである。目に見えないものにも冷静な考慮を払うという賢明さを取り戻さなければならない。
コミットメントを高めるための重要なカギになるのは、企業は何のために存在するか、という存在意義を明確にすることである。企業が重要使命をもっているということが重要に理解され、その使命への共感を従業員が持てば、企業へのコミットメントが高まり企業精神も高まるであろう。