1. 米国の関税政策の影響

第2次トランプ政権では、全輸入品に対して10%の基準関税が4月5日から、さらに特定国に対しては、例えば中国は既存の20%に加え34%となるなどの「相互関税」が4月9日から適用されることになりました。これにより、米国向けの輸入コストが上昇し、輸入品の価格に転嫁されることが懸念されています。

2. コンテナ運賃への短期的影響

一部報道では、これらの新関税の発表を受け、4月初頭において米国向けのコンテナ輸送の需要が前倒し(フロントローディング)され、スポットレートが一時的に上昇したとのデータがあります。実際、ファレイト市場では東アジアから米国東海岸向けのスポットレートが8~15%上昇したとする報告もあり、短期的には運賃が上昇する可能性があります。

3. 中長期的な展望

トランプ政権による関税措置が市場に与える影響は、以下の要素によって左右されます:

  • 前倒し輸入需要の消化後の落ち込み
    輸入業者が関税発効前に大量に貨物を取り込んだため、その後の貨物量が一時的に減少することが予想され、運賃が再び下落する可能性があります。
  • 供給過剰状態
    世界的には、輸送キャパシティの増加やコンテナ船の供給過剰も背景にあり、長期的には運賃は全体として低下傾向にあるとの見方もあります。

4. 影響の波及効果

輸送コストの上昇は、最終的には小売価格に転嫁され、消費者物価に影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーン全体に不確実性が生じることで、企業は在庫管理や物流戦略の見直しを迫られるとともに、物流業界全体に長期的な調整が必要となるでしょう。