『科学と資本主義の未来』広井良典

GDPのような従来型の経済指標だけでは、現在の時代に即した「豊かさ」や人々の求めるものは把握できず、それに代わる指標ないしコンセプトが必要になっている。

これからの時代においては「持続可能性(サステナビリティ)」と「幸福(ウェルビーイング)」の二者がいわば「車の両輪」のような形で中心的な重要性を担っていくと考えている。

21世紀はなお限りない「拡大・成長」を志向するベクトルと、成熟そして定常化を志向するベクトルとの、深いレベルでの対立ないし「せめぎ合い」の時代である。

世界の「持続可能性」や人々の「幸福」という価値を基準に取った場合、定常化あるいは「持続可能な福祉社会」への道こそが、私たちが実現していくべき方向ではないか。