『組織はなぜ変われないのか』 ジョン・P・コッター
機敏性、イノベーション、スピードがますます求められる世界において、社内に未実現の価値を抱えていることは次第にリスク要因になり始めている。未実現の価値を実現するために事業を売却するという手法は、一部のケースでは今後も最善の選択肢になりうるだろう。
しかし、企業内の未実現の価値を実現する方法は、これだけではない。これとは全く異なるアプローチにより、イノベーションと創造性を解き放つことも可能だ。そのアプローチを活用できるのは、競争力を高めるための有益なアイデアと、そのアイデアを素早く実行に移す力が社内に眠っている場合である。ぴ
必要なのは、今一般的に実践されているのとは異なる組織アプローチだ。具体的には、本書で論じている二元的な「デュアル・システム」(既存のピラミッド型組織に加えて、プロジェクト形式で動的なネットワーク型組織を併存させる組織形態)を採用すべきである。安定的に一貫性のある成果を生み出すためにマネジメントのプロセスを重んじると同時に、大勢の人がリーダーシップを発揮できるようにすることも忘れてはならないのだ。イノベーション、さらには有効な変革全般を実現するためには、そのようなリーダーシップが不可欠だからだ。