物流理論およびロジスティクス理論は、時代とともに進化し、現代のサプライチェーンマネジメントに至るまで多くの発展を遂げてきました。以下、その歴史を時系列で概観します。
1. 物的流通の概念の導入(1950年代)
戦後、日本では物流の効率化が課題となり、アメリカの先進的な物流システムを参考に「物的流通(Physical Distribution)」の概念が導入されました。これが後に「物流」と略され、一般的に使用されるようになりました。
2. 物流システム化の進展(1960年代)
高度経済成長期に入り、大量生産・大量消費の時代となる中で、物流の効率化が求められ、物流システムの整備が進みました。この時期、道路や港湾の整備が進み、物流拠点となる施設が各地に設置されました。
3. ロジスティクスの概念の普及(1970年代)
物流の効率化が進む中で、企業内外の物流活動を統合的に管理・最適化する「ロジスティクス」の概念が注目されるようになりました。これは、調達から生産、販売に至るまでの一連の物流活動を総合的に管理する手法として発展しました。
4. サプライチェーンマネジメント(SCM)の登場(1990年代)
1990年代に入ると、ロジスティクスの概念はさらに拡大し、原材料の供給から最終消費者への製品提供までの全過程を最適化する「サプライチェーンマネジメント(SCM)」の考え方が登場しました。これにより、企業間の連携が強化され、全体の効率性が向上しました。
5. 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)の普及(2000年代以降)
物流業務を専門の外部業者に委託する「3PL」のサービスが普及し、企業は自社のコア業務に専念しつつ、物流の効率化を図ることが可能となりました。
6. 物流DXと新たな課題への対応(2020年代)
近年、IT・IoT技術を活用した「物流DX」が進展し、物流業務のデジタル化や自動化が進んでいます。また、労働力不足や環境問題への対応として、持続可能な物流システムの構築が求められています。