『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』

マンデラが示した融和の姿勢として最も有名なのは、1995年、ヨハネスブルグのエリスパークスタジアムで行われたラグビー決勝戦にスプリングボックスのジャージと帽子姿で登場したことだ。試合前にチームキャプテンに挨拶をしようとフィールドに向かったマンデラに対して、ほとんど白人で埋め尽くされたスタジアムからマンデラコールが起こったのだ。それはスポーツにとって、そして政治にとっても感動的な瞬間だった。

ロベン島でマンデラと一緒に収監されていたトウキョー・セクスウェールが後にこのように語っている。

「あのとき始めてわかった。自由への闘争というのは、黒人を開放するためのものだけではない。白人を恐怖から自由にするためでもあっただということが」

マンデラが「敵を知る」と言うとき、それは単なる戦術について語っているのではない。敵でさえもどこか「共感」できる部分があるということなのだ。

「敵に会ってみたら、ヤツは私たち自身だったよ。」


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