『信念に生きる ネルソン・マンデラの行動哲学』

マンデラを批判した者たちに対しても同じ態度をとった。尊敬に値しない相手に対しても、こちらが尊敬の念をもって接することであいても尊敬の念をもって接してくれるようになるものだとマンデラは信じていた。この考え方が正しかったことは、彼が刑務所から釈放された後に証明されることになった。誰にでも公平に信頼を寄せるマンデラの態度は、国民に対しての「過去の恨みを超越した人物である」というメッセージになったのだ。

「過去は忘れよう」と南アフリカ共和国の国民に呼びかけたとき、多くの国民は、マンデラ自身が、すでに過去を克服したからこそ、そう呼び掛けているのだという印象を受けたのだ。これには二つの効果がある。一つは、マンデラに対して白人からの信頼感が増すということ。もう一つは、白人たちが、今まで自分たちが虐げてきた黒人を寛大に感じられるということだった。


0件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です