『JAL再生』引頭麻実

破綻前のJALでは、職位・職種別の教育システムが確立されており、経営幹部向けに「マネジメント研修」が行われていたが、マネジメント、すなわち、管理についての研修は不要というのが、大田氏の考え方だった。

管理するだけの人間は、会社の価値創造に貢献しない。会社全体に共通の価値観は醸成できない。必要なのは、リーダーである。リーダーとは、自ら動いて周囲を巻き込み、結果として企業価値を着実に高められる人材である。

JALの経営哲学を全社員に浸透させること、これが、リーダー教育の目的。借り物ではない真の教育を実現することで、役員を含む社員ひとりひとりの意識を根底から変えることこそが、JAL復活のプラットフォームになる。

JALで実施されたリーダー教育は、抽象論的な「啓発型教育」ではない。経営の現場における実践や実行に落とし込むための経営哲学を共有することが目的であり、経営判断の際に不可欠となる原理原則が、リーダー教育の根底に流れている。

リーダーとしての行動規範を、経営幹部から社員に至るまで、グループ全体で共有していくことは、業務における判断や行動が、同じ価値観のおとで展開されることを意味する。これが、圧倒的に経営のスピードと、社員の自発的・持続的な創意工夫をもとらすことになる。


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