『ソニー再生』平井一夫

こうしたソニーが向かうべき方向を「KANDO」のひと言で表すことにした。大赤字を出し続けて危機に瀕している会社を率いるにあたって、いまさら言葉探しとは「何をのんきなことを」と思われるかもしれないが、組織全体が向かうべき方向を示さないことには何も始まらない。ここをおろそかにしてはいけないというのが、私が過去の経営再建の経験で学んだことだった。

ただし条件がある。

こういった言葉は、社員たちに浸透してこそ意味がある。そうでなければ「また新しい社長がなんか言っているよ」で終わってしまう。

ソニーが向かうべき価値をどうやって社員に浸透させればいいか。「臨場感が危機感を生む」と述べたが、臨場感は一体感も生む。

私は再び、世界を回る旅に出た。


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