「物流の世界史」マルクレビンソン
技術革新は規制緩和の成果だったが、すべての企業に平等に恩恵をもたらしたわけではない。
勝者はグローバルな事業展開でコストを削減できる大企業だった。そうした企業は貨物市場にも精通し、そこで得られる最新情報をもとに運送会社や通信会社と最も有利な条件で契約することができた。
これまで考えられなかったほど多様な商品を、これまでより低価格で手に入れられるようになった消費者も勝者だった。
一方、規制緩和が進む世界で犠牲を強いられたのは労働者や中小企業だった。
輸入品との競争に直面した業種では、労働者の賃金低下や失業が生じた。
これまで何十年も地域経済の担い手だった中小企業は、鉄道会社や船会社との運賃交渉において不利であり、安価な輸入品が市場を席巻する中、身売りや廃業に追い込まれた。
規制緩和の恩恵を受けられるかどうかは企業規模に大きく左右された。
スケールメリットのない企業は敗れ去っていき、スケールを生かせる企業の眼前には、国境がどんどん崩れ去っていく世界が広がっていた。
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