「創造的破壊の力」フィリップ・アギヨン
イノベーションと知識の普及が成長プロセスを支えるということである。長期的な成長は、新しいイノベーションの開発者が過去の知識の蓄積すなわち「巨人の肩の上に乗って」積み上げたイノベーションの結果として実現する。
この見方は、技術の進歩なしには長期的な成長は起こり得ないというソローの結論とも一致する。知識の普及と体系化があって初めて、イノベーションは次のイノベーションを生み出すようになる。
イギリスの経済学者が信頼性の高いデータに基づいて行った実証研究によると、ある産業における競争とイノベーションの間にも、その産業における競争と生産性の伸びの間にも、正の相関関係が認められた。
しかしその後にイノベーション経済に移行するための制度変更を行わなかったために停滞したという。ガソリンエンジンで過去に成功を収めた自動車メーカーは、その後もガソリンエンジンの改良にこだわる傾向がある。
何と言ってもそこが得意分野だからだ。このため、自発的に電気自動車の開発に向かおうとしない。こうした傾向を「経路依存性」と呼ぶ。政府はさまざまな手段を使って介入し、企業にクリーンな技術のイノベーションを促す必要がある。
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