「物流の世界史」マルクレビンソン

このように行政能力が欠如したまま金融部門の規制緩和を行えば、悲惨な結果につながる。

ロシア、マレーシア、インドネシアなどは、外国から勧められるままに銀行開設を簡便にし、行政の監視をゆるめ、企業の外国からの資金調達を容易にした。

これによって現実に起きたことは、政府にパイプのある起業家が国内の銀行システムを乗っ取り、野放図な融資が行われることであり、中央銀行や銀行監督当局は金融システムの安定化に苦心することになった。

上記の3カ国すべてで、金融の規制緩和は1998年に深刻な経済危機を引き起こし、グローバル化の恩恵を享受しはじめたばかりの無数の人々の暮らしを直撃した。

経済の専門家が集まる世界銀行でさえ、自分たちの助言の多くが完全に誤りだったことを後に認めることになる。世銀の専門家たちはこう嘆いている。

「1990年代の経験は、民営化も規制緩和もいかに困難であるかを示している。」


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