ラリー・ダイアモンド『浸食される民主主義』

最小限の形では、民主主義とは、国民が定期的に自由かつ公正な選挙で指導者を選び、交代させることのできる政府システムを指す。

自由であるためには、選挙は異なる政党や候補者による競争を認めるものでなければならず、また、すべての市民の参加も認められなければならない。 そのようなシステムの成立には、アメリカでは何世紀も要した。 民主主義には投票の自由、および選挙に出馬する自由も必要である。

民主主義を信頼するためには、長期的に見て民主主義が生活水準の向上、紛争の管理、よりよい社会の構築といった問題の解決に資するものであるとの信念が必要である。

民主主義には決定を実行し、発展をもたらし、秩序を維持することのできる有能で専門的な政府が必要である。そして公正かつ効果的に進歩をもたらすためには、劣悪なパフォーマンスを生じさせ、最も有害であり市民に疎外感を与える要素である汚職を抑制しなければならない。これらすべてを行う能力を、グット・ガバナンスと呼ぶ。

グット・ガバナンスによって人々の信頼を得ることができれば、民主主義は生存できる。

民主主義に失敗する国は、きまって非リベラルで、ガバナンスが悪く「成績の悪い」民主主義だったのである。

民主主義の失敗は得てしてこのようなものである。ガバナンスが悪く、経済が停滞し、秩序が崩壊し、人々は民主主義への信頼を喪失し、システムは軍や過激派武装勢力、あるいは支配者自身によって押しつぶされるまで足踏み状態に陥るのである。


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