冨山和彦『会社は頭から腐る』

経営という社会科学の世界は、実験室で実験して効果を証明することができない。どれだけシュミレーション技術が発達しても、人間が介在する行為を完全に予測することはできない。そのため戦略の有効性を検証する唯一の方法は、実行してみることだ。実際にやってみるしかない。

予想したことが外れるためフィードバックがかかるか否かが企業の成否を分かつ。冷静で客観的な敗因分析ができる企業が勝者となる。

フィードバックという作業は、結果が予想以上に上がった場合も筆長となる。結果オーライは、一過性の勝負であれば通用するが、仮説・検証のプロセスを回す経営の本質からいえば、戦略的とはいえない。

うまくいっている会社とそうでない会社の違いは、戦略立案の優劣ではない。PDCAがよく回っている会社がよい戦略にたどり着くのである。

逆にいうと、戦略が仮説にすぎないという本質を理解し、PDCAを回すことに勢力を注いでいる企業こそ、戦略経営が実践されているといえる。