「日本経済の将来は善きにつけ悪しきにつけ、科学者と技術者の研究の成果にかかっている。日本の産業は現在、技術力でも世界一、二を争う位置にある。いくつかの部門では最先端にあるが、他の部門では遅れており、これは予想される通りの状況である。日本経済はこれまで、付加価値が一層高い産業へと、つぎつぎに、かなり急速に以降していくことで成長してきた。労働集約型の産業は海外に移転しているし、台湾と韓国の経済が既存産業で完全な競争力をもつようになり、いずれは中国経済もそうなるので、そうして、日本は限られた労働力をさらに行動な製造業とサービス業に投入しなければならないので、進歩はすべて研究開発の成果に左右されることになる。」
(ジェームズ・C・アベグレン『新・日本の経営』日本経済新聞社2004年 171ページ)

すでに8年前の指摘ですが、非常に洞察力が優れた指摘と言わざるを得ません。こうした文章を読んで対応を進めていた企業が現在でも構成成長を遂げているのだと思います。当時成功していた企業でも、イノベーションのジレンマを克服できた企業も同様です。

研究開発というと製造業では明確ですが、サービス業でもそれはあてはまります。新しいサービスの手法を実験、開発、提供することは立派な研究開発でしょう、製造業と違うのは、ただ成果が目に見えるか、見えないかの違いだけです。現在のマーケットでは単に良いモノであっても売れません。消費者にとって利便性が高く、心に響くものでなければ売れません。現代では特に消費者のライフスタイルにアピールできるモノやサービスに価値が認められる傾向があいrます。そこではさまざまな要素が複雑に絡み合います。

そう考えると、何もお金をかけることばかりが研究開発とは言えないと思います。むしろ新しいアイデアを創出できる人づくり、そのための社員教育や環境づくりが重要なのではないでしょうか。

「教育が発明発見のカギになるは明らかだ」(同187ページ)

ここでの「教育」とは学校教育を指しますが、企業でも状況は全く同じだと思います。限られた人材と財政の中での競争を余儀なくされる中小企業ですが、人材への教育は企業存続のための研究開発に不可欠な要素です。