「プロフェッショナルマネジャー」ハロルド・ジェーン

ジェニーン氏は、経営者の条件とは、「経営者は経営しなくてはならぬ!」ことだと書き連ねる。そのリフレーンを読んで、「事業に常に情熱的にコミットメントするという態度が経営者には不可欠なのだ」と僕は思い知らされた。トップ経営者とは、自分で決断し、目標とやるべきことを明言し、失敗のリスクを100%背負う人のことなのだ。そして世の中に経営をしていない経営者のなんと多いことか。

僕はずっと失敗してきた。今までのビジネスも一勝九敗ぐらいである。唯一成功したのがユニクロだ。僕はもともと商売はうまくいかないものだと思っているが、「失敗しなければ成功はない」とも信じている。大事なことは、その失敗で会社を潰さないことだ。同時に、失敗の問題点を摘出し、失敗する前に対処するように心がけている。

つまり問題点を挙げさせ、月一度のゼネラルマネジャー会議で、全員で解決法を考えたという。問題を経営者全員で共有し、乗り切り、成功に変えていく。経営はチームワークだという考え方に、僕は共感する。「エゴチスム」(第八章)でも指摘されているが、人材を自分の手足に使うワンマン経営は、うまくいっているときには最大の効果を発揮するが、時間がたつと必ずツケが回ってきて、経営のマンネリ化が早まる。 僕は、経営者は自らの限界を知るべきだと思う。確率で言えば、経営者が一番優秀である確率のほうが低い。優秀な人とチームを組めば、自分の欠点をカバーしてもらえる。

しかし、チームを組むには、達成すべき目標が「努力するに値すること」だという認識と情熱をチーム全員に共有してもらわなくてはいけない。そこで重要なことは、できそうもない目標、努力したらできるギリギリの目標を掲げることだ。そして、経営トップとメンバーが対等の立場で議論を重ね、合意したうえで、仕事を進める。高い目標を示さない限り、誰も熱狂的に仕事をしない。

もう一つ重要なことは、数字を読む力だ。ジェニーン氏は、貸借対照表や損益計算書は体温計みたいなもの、と言う。「経営はまず結論ありき」という〝逆算の発想〟で経営を行うには、ちょっとした数字の変化で会社や現場の状況がわからなければいけない。僕は、過去の貸借対照表や損益計算書を記憶し、常に現在の数字と比較してきた。 最後にジェニーン氏は、こう結論づけた。ビジネスにおける最大の偉業は、人生のほとんどあらゆる場面におけると同様、天才によってではなく、平凡な普通の男女によって成し遂げられる、と。