「プロフェッショナルマネジャー」ハロルド・ジェーン

リーダーシップ──現場と「緊張感ある対等関係」をつくれ 僕は、小売業では、お客さまとの接点の最前線である現場が重要だと考える。店で働く人々の「気づき」がどんどん本部に伝わってこないと、商品の品質向上もできない。店で働く人が、「この商品のここはもっとああしてほしい」「こうしないと売れない」と感じたのであれは、お客さまはもっと強く感じているはずだ。それを直ちに本部に伝えてもらう。そうなるには、商品を売らされるのではなく、自ら商品にコミットし、自分で売る感覚を日常化することが必要だ。

そこで大切な前提は、社長でも社員でもパートでも「対等」であることを、働く人々が現実に実感できることだ。お互いに努力して一つの目標を実現したいと思えるのは、全員が対等だと信じられるからだ。これがあって初めて、経営や店舗運営におけるリーダーシップが発揮できる。ジェニーン氏は言う。「(リーダーシップは)最高経営者と彼を中心としたトップ・マネジメント・チームの性格の反映として、どんな企業の中にもあって、それぞれの会社の個性をつくり出している。私の考えでは、リーダーシップの質こそ、企業の成功をもたらす処方に含まれる最も重要な成分である」 

僕は、「リーダーシップの質」とは、全員が対等で、現場の人が自分で考え、本当の自分の意見を出し合えるようにすることだと考える。ジェニーン氏は、「私の考えでは、楽しい繁栄の雰囲気をつくるのに最も重要な要素は、経営組織の上下を通じて、開放的で自由で率直なコミュニケーションを定着させることである」とも書いているが、これは人を動かすための大原則である。